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興居島ラン

『午前に着いたのにゴゴ島とは、これいかに?』
『はあ?』
『山があってもヤマナシ県と言うがごとし!』
『・・・・・』
予報では晴れ、最高気温は30℃となっていましたが、船上の風は半袖では寒く感じ、
一週間かかって作り上げたおやじギャグで寒がらせる必要もないほどでした。

高浜港からあらためて見ると目と鼻の先ですが、『島』というのは旅情を誘い人を引き付ける力を
持っていて、一般市民からすれば船に乗るのも非日常のワクワク感を伴います。
芸術を味わうのに予備知識はいらない、なぜならば感性を邪魔してしまうから。
本物の作品はすべての人を魅了する力を持っています。
今まで、皇居や大阪城、シーガイアなど旅ランで色々なところを走ってきて、知らない道を行く緊張感や
景色が開けた時の感動は予備知識がないからこそのものだと思います。次はどっちに曲がろうか、
この先には何があるのだろう、ちゃんとスタート地点に戻れるのだろうか、感性に従うのみです。

私は三重県の鈴鹿市で育ち、東京で就職しました。不思議な縁で四国に住むようになったのですが、
はじめて松山空港に降り、バスの車窓からの景色にびっくりしました。へんぴな島を予想していたら、
ちゃんと建物が建っている、電車が走っている、歩いている人が日本人の姿かたちをしている。
なんだ、本州と変わらないじゃないか。これなら何も心配することはない!
(しかし、その後数々のカルチャーショックに見舞われることになる)
大陸人にとっての日本、本州から見た四国、松山からの興居島は、失礼ながら海を隔てている分、
『大丈夫かな?』の度合いが大きいと思います。

夏目漱石が松山の学校に赴任することになったとき、やはり都落ちの感は否めなかったことでしょう。
島流しという言葉もある通り、距離が遠いだけの田舎と島とではまるで感覚が違います。
アメリカ人がバカンスでフロリダに行くのとハワイに行くのでは、これもまた全く別次元の旅行なのだ
そうです。
今回の興居島ランはリゾートアイランドに遊びに行く、ランニングクラブのイベント史上、
最も多い24名の島への上陸者はそのように考えての参加だったのでしょうか。

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7キロの長丁場と予告していたのに、1年生2名と3年生のお姫様も参加してくれて、背の高さも年齢も
幅の広い今日のエルピスSAのチーム、なるべく一丸となって走りたいので㌔6分ペースでのスタートです。
右手には海、左手には山、まばらな民家、時折通り過ぎる車、ほかには何もありません。
晴れていたら海の青でいい景色が見られたのでしょう。曇天は日差しが邪魔にならない分、
ランニングには好条件です。心で走り、背中で引っ張る6年生が先頭で、最後尾には大学生の自転車君。
お父さんたちにまんべんなく散ってもらってきれいな隊列のまま最初の休憩。
『O君の小学校はここよ』
『へえ~』
お前さんたち、分かってるのか?毎朝、車、船、バスを乗り継いでここまで通っているんだぜ。
他人事だと、言葉では理解していても、実感としてはとらえきれていないような反応でした。
カラカラの大地の真ん中を走るより、塩気を含んでいても水辺を走るほうが安心するのは人間の自然な
感性でしょう。少し苦しげな顔を見せ始めた子供たちも、海を見ながら走っています。
3.5キロの折り返し地点で休憩。

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再スタートの最初の100mは心も足取りも軽く、どこまでも走れそうです。心拍数が上がってくると
じわじわと苦しさが胸に迫ってきて、急に気持ちがなえてきます。心臓のドキドキが上がり切った
ところで落ちついてくると、グラフでいうと水平になるまで我慢できると、少し楽に走れるのですが、
これにはちょっと訓練が必要です。スピードの上げ方、どれくらいのドキドキまで耐えられるか、
走り方の軽さも大切です。往年の名ランナー、瀬古選手は毎日の練習で『嫌だな』、と思うときも
あったそうですが、ケニア人たちは
『今日のオレは最高だ』
『絶好調、体が軽い』
と、練習を常に前向きに取り組み、力を付けていくのだそうです。しんどくても、『今日は絶好調』と
思ったら、楽になる時間が少し早まるかもしれません。

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いわゆるマラソンのような頑張る系の運動と頭のよさにはかなり強い相関関係があるそうです。
苦しいことへの耐性が強まれば、好きなことも我慢できて、粘り強く何事にも取り組めるはずです。
いやしかし、楽しく走る、楽に走るほうのアプローチも大切なのではないか?
お金を貯めるためには、倹約をすればいい。
速く走るためには、足を速く動かせばいい。
では、楽しく走るためには?
エンジンである心肺機能を高めれば、ある程度は楽に走れるはず。仲間と走る、いい景色を見ながら、
それともトレイルラン?
リゾートアイランドに走るためにやってきたみなさんは、楽しく走るためのきっかけを今回のランで
つかめたでしょうか?楽しく走れたら、楽しく勉強もできるし、楽しく仕事もできることでしょう。

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ラスト1キロ。一年生のしんどさレベルはすでにMAX。半泣きのT君をみんなで励まし、スタート地点の泊港に
戻ってきました。往復7キロちょっと。よく頑張りました。

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さあ、今からが本番。出港までまだ時間がある、6キロは走れる。はい、用意スタート。
海岸沿いの平坦な道から、だんだんと傾斜がきつくなっていきます。脚が喜ぶ。息が上がる。
ランニングクラブのいつものメンバープラス数名、お前さんたち7キロ走の後なのになかなかやるじゃないか!
こんな名前をつけたら、のこのこやってくるもの好きがいると思ったのでしょうか?『恋人峠』に到着。
きみたち、10年後には恋人と来るのかい?

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まだ、時間がある。せっかく来たのだから何かしないともったいない。貧乏性は治りません。
神社の境内への階段。ダッシュ3本。津波の時はここに登るのでしょう。

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峠からの帰り道、Y作君の深い一言。
『コーチ、今日はここに来られてよかったですね』
おまえ、いいこと言うな。ありがとう。今日はぶち切れせずに、おちびちゃんにもよく声掛けをしていました。
そういえば3年生のお姫様も休憩時、『ここ座れるよ』に『ありがとう』でニッコリしていました。
『ありがとう』はいくら使っても減りません。みなさん、お疲れ様、ありがとう。興居島さん、ありがとう。
興居島のきれいな空気を吸って、少しは心もきれいになったかもしれません。

6月20日(土)のウェルピアスクールに愛媛新聞の取材が来てくれました。
集合写真、キャプテンのインタビュー、来週の紙面に掲載される予定です。

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(新沢)

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